やはり Tiger 新機能の一押しは Spotlight
Tiger がリリースされて数日。環境もずいぶん整い、気持ちの高ぶりも少しは収まりつつある。Tiger の新機能のうち、何が一番革新的かと考えれば、やはり Spotlight だ。Tiger を使い出してから意識的に Spotlight を経由したファイル操作を行うようにしている。そうしているうちに Spotlight を使ってファイルを検索し、開くという流れが自然にできるようになってきた。同時に思っていた以上に Spotlight の威力のすさまじさを感じている。
Spotlight 以前にも Namazu はあらかじめ索引を作成しておき検索するという技術を提供していたし、最近も Google Desktop という選択肢も出来た。Windows なら、サードパーティ製ソフトウェアとしてサーチクロスという選択肢もある。僕自身は Namazu とサーチクロスなら以前から少しは利用していたし、全文検索機能は便利だなと常々思っていた。しかし、もし Namazu やサーチクロスに Spotlight 同様のメタデータまでを含めた検索機能が備わっていたとしても、Spotlight ほどの衝撃は受けなかったと思う。
Spotlight をここまで高めているのは、検索機能が OS に組み込まれている点に尽きる。
Namazu、サーチクロス、Google Desktop はいずれも独立したソフトウェアであるために、「わざわざ検索する」という意識が入ってしまう。だからファイルの場所を忘れるなどの「検索の必要性」が生じないとなかなか使わないのではないだろうか。僕はそうだった。ところが Spotlight は、常に画面の右上に存在し、Control + Space という手軽なショートカットで呼び出すことができ、キーワードを入力すれば即検索結果がリストアップされる。ここまで手軽になってしまうと、最初だけ意識して使うようにしていれば、いつのまにかそれが無意識に使うようになれる。
同時に、これもやはり OS に組み込まれた結果であるが、ファイルの作成や変更がすぐにデータベースへ反映される点も重要なポイント。Namazu であれば cron を使ったり、サーチクロスであれば時刻を指定するなどして、定期的にデータベースを更新する必要がある。もちろんこれらの処理はバックグラウンドで自動的に行われるから、手間はあまりかからないのだが、データベースと最新情報とのラグまではどうしようもない。古いデータについては検索できても、さっき編集したファイルまでは手が届かないから、「検索の必要性」を感じないと使わないようになってしまう。
さらに、やはり OS に組み込まれたからこその機能として、「スマートフォルダ」の利用が可能になったことも Spotlight の大きな利点だ。いまのところ Finder、Mail.app、アドレスブックといった Tiger 付属のアプリケーションでしか Spotlight を利用したスマートフォルダを利用することはできないが、サードパーティソフトウェアでの利用も時間の問題だろう。スマートフォルダによってもはや以前のように「カテゴリ」分けによってフォルダを作成し、ファイルを管理する必要性がほとんどなくなった。スマートフォルダの活用方法は僕自身まだまだ試行錯誤しているのだが、これは非常に強力な使い方が出来そうだ。
野口悠紀雄氏の「超」整理法では、「カテゴリ」による分類は破綻しやすいため「時間軸」による分類を勧めている。スマートフォルダを利用すると「一週間以内に利用したファイル」や「一年以上使っていないファイル」という分類ができる上に、これらの中身はユーザーの利用に応じてリアルタイムで変化する。従来の「カテゴリ」を基準にしたフォルダ階層によってファイルは保存しておきつつ、スマートフォルダによる「時間軸」の分類ということもできるから、両方の良さを同時に使うことができる。
正直 Spotlight がここまで便利だとは思っていなかったのだが、今は、この技術は本当に今までのコンピュータの使い方を変えてしまうのではないかと感じている。少なくとも今 Panther に戻れば Spotlight の無い状況に堪え難いストレスを感じるかもしれない。今後 Spotlight プラグインの登場によってますます便利になるに違いないし、Spotlight の活用術も発見されていくだろう。この点に関しては、最近 O'Reilly から *** HACKS というシリーズが出版されているがぜひ SPOTLIGHT HACKS を期待したい。最後に、この環境は Windows でも利用したいと切に願うので、Lonhorn がんばってください、マクロソフトさん◎