3D ディスプレイ

スターウォーズに代表される、立体的な物体を空間中に表示するディスプレイが「http://www.100shiki.com/archives/000887.html」で紹介されている。が、残念ながらこれはウソだ。デモ映像では、あたかも空中に物体が浮かび上がっているかのように見えるが、それは現在の技術では不可能だ。というよりあのような状況で適用できる物理の理論はないと思う。

空気中に物体が存在するように見せるには、その立体空間中で光が発光するか、もしくはディスプレイから出た光があるポイントで曲がって見ている方へ飛んでくる必要がある。

前者を実現するためには、空気中に何らのエネルギーを当てるなどして気体を発光させなければならないが、立体空間上の任意のポイントで、任意の色を発光させる技術はない。しかもそれをデモに見られるような、一枚の板上のデバイスの前で発光させる必要がある。

後者だが、光もものすごい重力場があれば曲がる。ブラックホールなどがその例だ。が、それは表示デバイスもユーザーも地球も全て吸い込むような威力だ。

ようは、デモに見られるようにディスプレイから完全に独立した空間上に立体映像を映し出す技術はないということだ。Provision の言うものがどこまでが本当でどこまでがウソか分からないが、3D 表示が今ある技術で可能だとしたら、SHARP などがやっているような右目と左目の視差を利用した方法だと思う。これはディスプレイから、少なくとも右目と左目用の二種類の光を出して擬似的に三次元であるように見せるもので、ディスプレイの枠のなかを見ている限りは立体として見える。それでも、実際に触れられるように感じるほどではない。

スターウォーズは好きな映画だし、あの立体映像は実現できるならホントに素晴らしいと思うけど、それを期待して Provision のものを実際に見たらがっかりすると思う。まあ今回のをあまり真面目に考えるのもどうかと思うんだけども、インパクトがあったのでちょっと考えてみた。

ちなみに、ホログラフィックなシールなどはどうかというと、あれは物理的な構造をもって立体的な光を見せているので動画を実現するためにはディスプレイの構造をリアルタイムで変えるということが必要なのでやはり今のところ無理だろう。